太陽と月の神話 17 月天子ソーマ

月の魔女・小泉茉莉花です。

太陽と月にまつわるお話は世界中にたくさんあります。
太陽と月の魔女ブログでは、そんなお話をご紹介していきたいと思います。
本日ご紹介するのはインドの月天子ソーマお話です。

ソーマは右側に5頭、左側に5頭の白馬にひかれた3っの輪をもつ車で夜空をかけぬける月天子。
その年齢は500歳とも言われ、世にも美しく、豪華絢爛な月宮殿に住んでいます。

ソーマは一度にあまりに多くのものを手にしたので、権力に酔いしれて、
すっかり傲慢になってしまっていました。
望みのものは何でも手に入ると思いこんだソーマは、こともあろうに、
神々の指導者プリハスパティの妻ターラーを略奪します。
愛する妻を奪われたプリハスパティは、半狂乱になって探しまわり、
ソーマのおじいさんにあたるプラフマー神のもとに訴えたのでした。
しかし、ソーマはプラフマー神の度重なる忠告にも耳を貸しません。
とうとうプリハスパティは武力を行使して、
他の神々をもまきこんでの大戦争がはじまりました。
プラフマー神は戦いを中止するように命じるとともに、
今度は強制的にターラーをソーマのもとから連れ戻しました。

愛する妻が戻った喜びもつかのま、プリハスパティは
ターラーが身ごもっていることに気がつきます。
怒ったプリハスパティは、子供がうまれるまで家から一歩もでるなと
妻に命じます。
ターラーは木立の中でひとり男の子をうみ落とします。
玉のように光輝く美しい男の子をみて、
ソーマもプリハスパティも「自分の子」だと言い張って一歩もゆずりません。
仲裁に入った神々がターラーに父親はどちらだとたずねても、
ターラーは恥ずかしがるばかりで答えません。

そのとき、生まれたばかりの男の子がターラーにむかって、
「あなたは不道徳な母親だ。私の父の名をあかさないなら、のろいをかけてしまおう」
と言いました。
息子に呪いをかけるといわれて、さすがのターラーも
父親の名を言わざるをえません。
本当の父親がソーマだということをあかしました。
その言葉をきいて、ソーマは有頂天になって、息子を抱きしめていいました。
「私の愛する息子よ。お前は賢い子だ」
その子はブダ(賢者)と名付けられ、ソーマとともに月世界をおさめたのでした。

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