太陽と月の神話 第148回 太陽と月になった兄弟

月の魔女・小泉茉莉花です

太陽と月にまつわるお話は世界中にたくさんあります。
太陽と月の魔女ブログでは、そんなお話をご紹介していきたいと思います。
今月は、グルジアに伝わるお話です。

太陽の前はなにか他のものが世界を照らしていました。
その光輝くものは地上にありました。
あるとき、神様がそれを天上によんだので世界は暗闇になってしまいました。

地上の生き物はどうしていいかわからなくなって、途方にくれていました。
どれくらいたってからでしょうか? やっと天上に光輝くものがあらわれました。
それが今我々が太陽とよんでいるものです。
地上が暗くて寒かったので太陽と月があらわれたのです。

太陽と月は腹違いの兄弟で、月のほうが太陽より年下です。
神様はどちらか片方が、昼の光=太陽になり、もう片方が夜の光になるように言いました。
太陽になるほうが気分がいいにきまっているのできめられた日に先におきたほうが
太陽になり、もうひとりが月になることになりました。
母親たちは決して、息子を起こしてはならぬと命じられていました。

兄弟ともに昼の光になりたかったので、
弟は早くおきるために、寝床にイラクサやとげを敷いて、寝ないでいようと頑張りました。
それなのに、夜明けに眠気にまけてぐっすり眠ってしまったのです。

兄のほうは夕方から寝床に入って、たっぷり眠って朝早くおきました。
そして、すぐに世界を照らしにでかけました。
兄の母親は大喜びです。

弟のほうが母親が昼ごはんのためにパン生地をこねるまで眠っていました。
弟が目覚めたときにはもう太陽が世界中を照らしていました。
母親は寝坊の息子に腹をたてて、パン生地で汚れた手で息子の顔にびんたをくらわせました。
月の上に今でも見える黒い斑点はパン生地で汚れた母親の手の跡なんですって。

参考図書 世界の太陽と月と星の民話 外国民話研究会翻訳 三弥井書店

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