太陽と月の神話226  日食で仲直り(カナダ・セネカ族)

こんにちは。太陽の魔女マリィ・プリマヴェラです。

太陽と月にまつわるお話は世界中にたくさんあります。
太陽と月の魔女ブログでは、そんなお話をご紹介していきたいと思います。
今日は、カナダに伝わる太陽にまつわるお話をご紹介しましょう。

昔むかし、カナダのセネカ族の若者たちは
モホーク族の国を襲い、何人もの捕虜を連れ帰ってきました。
こうしてセネカとモホークとの間に闘いが始まったのですが、
セネカの警備の者が斧を振り上げ、
モホークの一人に死の一撃を加えようとした、まさにそのとき、
捕虜となっていた少女が太陽を指さしながら叫びました、
「偉大で善なる“霊”が顔を隠そうとしている!
私たちの戦いを見たくないのだ!
もし闘いが続き、人々が死んだり散り散りになったら、
“太陽霊”は立ち去り、私たちを闇の中に残すだろう。
太陽が顔を隠すよ! 顔を隠すよ!!」。

すると本当に太陽の上を真っ黒な円盤が覆い始めました。
空はどんどん暗くなります。
恐れおののいた両軍の戦士たちは地にひれ伏し、
互いに許しを乞いつつ、永遠の友情を誓ったのです。

恐ろしい暗闇の中で、セネカの最長老が語りました。
「善なる霊・太陽は争う我々に怒っていらっしゃる。
平和を望んでおられる。
昔、先祖が太陽からもらったパイプでたばこを吸い合わなければ
二度と太陽を拝めなくなるだろう」。

そこで族長たちは輪になり、パイプを回しあいました。
すると暗かったこの世は徐々に明るくなり、
太陽はやがて明るい輝きを放つようになったということです。


参考:「世界の太陽と月の民話」三弥井書店

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